「オートファジーを高めたいなら16時間断食」
最近は、こういう情報を目にすることが増えました。
実際、断食や時間制限食、運動、一部の成分とオートファジーの関係は研究されています。
ですので、完全に間違いというわけではありません。
ただ、私は臨床の現場で、ここをそのまま鵜呑みにしすぎない方がいいと感じています。
なぜかというと、
流行っている方法が、そのまま今のあなたに合うとは限らないからです。
まず、オートファジーは、細胞の中の不要なものや傷んだものを分解して、再利用する仕組みです。
細胞の片づけと再利用、というイメージで考えていただくとわかりやすいと思います。
この仕組みはとても重要で、加齢や健康維持との関係も研究されています。
だからこそ、
「断食をすれば整う」
「この成分を入れれば若々しさを保てる」
という情報が広がりやすいんですが、実際の身体はそんなに単純ではありません。
たとえば運動。
運動がオートファジーに関与する可能性は高いとされています。
ただし、ヒトでは運動の種類や評価する組織によって結果が変わりうるので、何をどれだけやればいいかが一律に決まっているわけではありません。
断食や時間制限食についても、注目はされています。
けれど、ヒトでの最適条件や、誰にどの程度向いているかは、まだ十分に固まっていない部分があります。
要するに、「やれば全員整う」という段階ではないということです。
また、一部成分としては、ウロリチンAなどの研究が進んでいます。
中高年を対象にしたランダム化比較試験で、筋力や運動パフォーマンス、ミトコンドリア関連指標の改善が報告されています。
ただ、ここでも大事なのは、
成分が良いことと、その人の身体がそれを活かせる状態かどうかは別
ということです。
実際に不調が長引いている方を見ていると、
- 睡眠の質が悪い
- 食いしばりが強い
- 首肩がずっと緊張している
- 日中ずっと気を張っている
- 呼吸が浅い
- 食事量が足りない、あるいは偏っている
- タンパク質や鉄などの材料が不足しやすい
こういう背景が重なっていることがよくあります。
この状態で、さらに
「食べる時間を削る」
「我慢を増やす」
という方向に行くと、合う方もいれば、逆に負担が増える方もいます。
特に、
自律神経の負担が強い方
食いしばりが強い方
睡眠が浅い方
疲労感が抜けにくい方
では、流行りの健康法がそのままプラスになるとは限りません。
私は、こういうテーマほど、
何が正しいかではなく、
今の自分に何が合うか
で考えた方がいいと思っています。
当院でよく見ているのは、
- 食いしばりの強さ
- 首肩や顎まわりの緊張
- 呼吸
- 睡眠
- 自律神経の乱れやすさ
- 必要に応じて栄養や食事の背景
です。
要するに、
回復しやすい条件がそろっているか
を見ています。
流行りの健康法を否定したいわけではありません。
実際、断食や運動や一部成分に価値がある可能性は十分あります。
ただ、その前に、
- そもそも休めているか
- 材料は足りているか
- 交感神経が張りっぱなしではないか
- 食いしばりや緊張で消耗し続けていないか
ここを無視しない方がいい、ということです。
身体は、条件がそろってはじめて整いやすくなります。
だから私は、何かひとつの方法を推すよりも、今の身体の状態を整理して、必要な順番で整えていくことの方が大切だと考えています。
「いろいろ試しているのに整った感じが続かない」
「情報ばかり増えて、結局何をしたらいいかわからない」
そんな方は、一度自己流を休んで、今の身体を見直してみてください。
見た目だけでもない。
痛みだけでもない。
その場しのぎで終わらせず、今のあなたに合う整え方を一緒に考えていければと思います。

