個人的な話から始めます。
私は10年ほど、美容室を転々としていました。
行くたびに、髪型の希望を伝えます。写真を見せることもありました。できるだけ具体的に、分かりやすく話しているつもりでした。そして、こう返ってきます。
「分かりました」
その返事に、いつも小さな引っかかりがありました。本当に分かったのだろうか。
仕上がりを見ると、思っていたものとは違います。悪くはない。文句を言うほどでもない。ただ、伝えたはずのものとは違う。
その日は「ありがとうございました」と言って帰ります。そして次からは、別の店を探します。
これを、10年繰り返しました。
たぶん、あなたも同じ経験があると思います
- もっと詳しく説明するようにした:次こそはと思って、言葉を増やした。結果は変わらなかった。
- 写真を持って行くようにした:具体的なら伝わるはずだと考えた。それでも違った。
- 自分の説明が下手なのかもしれないと思った:伝わらないのは自分のせいかもしれない、と。
- そのうち、何も言わなくなった:説明するのに疲れて、「おまかせで」と言うようになった。そして、次の場所を探した。
これは、美容室に限った話ではありません。
治療院、整体院、鍼灸院、リラクゼーション、そして病院。同じことが起きていないでしょうか?
Q. なぜ、伝えたのに伝わらないのですか?
「分かりました」と言われた時点で、確認が終わっているからです。
ここが、この問題の核心だと考えています。
人が話を聞くとき、頭の中では自動的に補完が行われます。相手の言葉を、自分の知っている型に当てはめて理解する。これは、誰にでも起きる自然な働きです。
問題は、その補完が正しかったかどうかを、確かめないまま進むことです。
「分かりました」は、話し手ではなく、聞き手が下した判断です。聞き手の中では、たしかに話は通っています。ただ、それが話し手の意図と一致しているかは、確かめない限り分かりません。
そして多くの場合、確かめられません。確かめる工程が、手順の中に入っていないからです。
Q. 「確認する」とは、どういうことですか?
聞き返すこと。言い換えて返すこと。分からないと言うことです。
たとえば、こうです。
「今おっしゃったのは、こういうことで合っていますか」
「そこは、少し分からないので、もう一度伺ってもいいですか」
「前回とは、どのあたりが違いますか」
一見、頼りない返答に見えるかもしれません。「分かりました」のほうが、その場は安心して聞こえます。しかし、確かめない「分かりました」と、確かめたうえでの「分かりました」は、まったく別のものです。
そして、この違いはその場では見えません。結果が出てから分かります。だから、何度も繰り返してしまいます。
Q. これは、誰かが悪いという話ですか?
そうではありません。ここは、はっきりお伝えします。
伝わらなかった相手が、不誠実だったわけではありません。手を抜いていたわけでもありません。多くの場合、確認するという工程を、そもそも習っていないだけです。
技術は教わります。手順も教わります。しかし、「相手の話を聞いた後に、自分の理解が合っているかを確かめる」これは、教わる機会が少ない部分です。
だから、本人にも自覚がありません。確認していないことに、気づいていない。
そして受け取る側も、その場では気づけません。「分かりました」と言われれば、伝わったと思うからです。
誰も悪意を持っていないのに、伝わらない。これが、この問題のいちばん難しいところです。
体を預ける場所では、その差がもっと大きく出ます
髪型であれば、伸びれば戻ります。次の機会もあります。しかし、体はそうはいきません。
「肩がつらい」と伝えたとします。しかし、その言葉が指しているものは、人によってまったく違います。
重い感じなのか、張っている感じなのか、動かすと痛いのか、ずっと痛いのか。朝がつらいのか、夕方がつらいのか。いつからなのか。何かきっかけがあったのか。以前も同じことがあったのか。そのときはどうなったのか。
確認しなければ、この違いは分かりません。
そして、確認せずに進めば、その方に必要ではないことをすることになります。悪いことをするわけではありません。ただ、合っていないだけです。
「悪くはないけれど、変わらない」——この状態が、いちばん判断を難しくします。不満とまでは言えないので、指摘もしません。そのまま何回か通って、静かに来なくなります。
Q. 初回で、見分けることはできますか?
ある程度はできると考えています。次のような点を、意識して見てみてください。
| チェックポイント | 見分ける理由 |
|---|---|
| 1. 聞き返されるか | 「それは、こういうことですか」と、言い換えて返してくるか。一度も聞き返されずに進む場合は、確認の工程がないかもしれません。 |
| 2. 「分からない」と言うか | すべてに即答する人より、「そこは確認させてください」と言える人のほうが、実際には正確です。 |
| 3. 途中でも確認が入るか | 最初に聞いて終わりではなく、施術の途中で「今どうですか」と確認があるか。 |
| 4. 次に来たとき、覚えているか | これがいちばん分かりやすい点です。前回のことを記録を取っていなければ、覚えていられません。 |
通う場所を変え続けることの、本当の損失
失われるのは、お金や時間だけではありません。いちばん大きいのは、積み上がらないことです。
体の状態は、一度見ただけでは分かりません。前回とどう違うか、どの季節に崩れるか、何をした後に戻るか。これらは、同じ人が続けて見ることでしか分かりません。
場所を変えるたびに、その積み重ねはゼロに戻ります。毎回、最初からの説明になります。そして毎回、同じ入口の話で終わります。
10年美容室を転々として、私が失っていたのは、その10年分の積み重ねでした。
だから、当院は「確認」します
私は、確認されなかった側の経験があります。
だから、伺った内容を言い換えてお返しします。分からなければ、分からないとお伝えします。施術の途中でも確認します。前回のことは記録に残し、次に必ず見返します。
一見、手間がかかるように見えるかもしれません。実際、時間もかかります。
それでも、確認しないまま進めた施術は、その方のものにならないと考えています。もし今、身体のことをきちんと伝えられているか不安を感じているなら、一度当院にお話を聞かせてください。
当院について
慧仁治療院は、東京都足立区入谷にある鍼灸・整体院です。
施術歴20年、延べ10万1千人以上のご相談実績をもとに、認定美容鍼灸師上級マスター・YNSA正規許可施術者・ONP分子栄養学認定資格を保有する男性施術者が、お一人おひとりに丁寧にご対応させていただいております。
足立区入谷・西新井・大師前・北千住・竹ノ塚・舎人・舎人公園・江北・日暮里・草加エリアの30代・40代・50代の女性を中心に、美容鍼・小顔ケア・肩こり・頭痛・食いしばり・自律神経のお悩み・睡眠のご相談を承っております。

