三回目でした。同じことを、三回目に伝えたときです。
返ってきたのは、「初めて聞きました」という言葉でした。
怒鳴りたいわけではありません。責めたいわけでもない。ただ、分からないのです。
なぜ伝わらないのか。どう言えば届くのか。私の説明が悪かったのか。もう一度、言い方を変えたほうがいいのか。
仕事が終わって、電車に乗ります。夕食のことを考えながらスーパーに寄る。家に帰って、着替えて、洗濯機を回す。LINEの返信をして、お風呂に入る。
もう仕事は終わっているはずなのに、頭の中では、まだ続いています。
「さっき、ああ言えばよかったのかな」
「前にも伝えたはずなんだけど」
そして布団に入るころ、なぜか一番はっきりと思い出します。
翌朝。目覚ましが鳴ります。また、同じ一日が始まります。
仕事の「量」は、むしろ増えていないはずでした
担当が変わった。以前ほど関わらなくなった。物理的な仕事量は、そこまで増えていない。それなのに、前より疲れている。
- 朝、起きてもすっきりしない。
- 夕方になると首や肩が重い。
- 目の奥が疲れる。こめかみが張る。
- 朝、あごが疲れていることがある。
- 休日になっても、午前中は何もする気になれない。
そして思います。「私、そんなに働いていたかな」
もしかすると、疲れは仕事の「量」だけでは説明できないのかもしれません。
Q. 怒っているから疲れるのでしょうか?
それだけではないと考えています。
出来事そのものより、「そのあと何度も考え続けること」が負担になることがあります。
「あの言葉はどういう意味だったのだろう」「私の言い方が悪かったのかな」「次はどう伝えればいいだろう」「また同じことが起きたらどうしよう」
仕事中だけではありません。帰り道。夕食の支度中。お風呂。布団の中。
理解しようとすること自体が、ひとつの作業になっています。しかも、その作業には明確な終わりがありません。答えが出ないからです。
仕事は退勤時刻で終わっても、頭の中では退勤できていない。そんな状態になることがあります。
Q. だから、休んでもすっきりしないのでしょうか?
その理由の一つになる可能性があります。
身体は家に帰っている。ソファにも座っている。お風呂にも入った。
でも頭の中では、明日の段取り、今日の会話、誰かへの返信、忘れてはいけないことが動き続けている。
こうした時間は、外から見ても「働いている」とは分かりません。自分でも、「今日はもう休んでいる」と思っています。
だからこそ、「何もしていないのに疲れる」という感覚になることがあります。
Q. 身体には、どこにサインが出るのでしょうか?
ここは、決めつけないことが大切です。
心理的な負担があるから、必ずあごが硬くなる、必ず首がこる、ということではありません。
| 確認するポイント | 身体からの無意識のサイン(例) |
|---|---|
| あご・こめかみ | 「食いしばっていない」と思っていても、仕事中やスマホを見ている時に上下の歯が触れている。 |
| 首肩・目の周り | 頭の中の疲労や、視線の固定から来る無意識の緊張が蓄積している。 |
| 呼吸・睡眠 | 自律神経のスイッチが切れず、呼吸が浅くなったり、朝起きても疲れが抜けなかったりする。 |
反対に、かなり疲れていても身体の緊張が強くない方もいます。だから、「ストレスですね」で終わらせない。
仕事姿勢、睡眠、食事(分子栄養学の視点)、目の疲れ、運動量、身体の使い方。いくつかを一緒に確認することが大切だと考えています。
Q. 相手と少し距離ができたら、楽になりました
それも自然なことだと思います。
話す回数が減った。担当が分かれた。考えなくてはいけない場面が減った。すると、「なぜなんだろう」と考える時間も減ることがあります。
これは、相手を否定したということではありません。すべてを理解しようとしなくてもよくなった。それだけかもしれません。人にはそれぞれ考え方があります。すべてを理解しなくても仕事はできますし、答えを出さなくても構いません。
ただ、気持ちが少し楽になったからといって、身体まで同じ日に軽くなるとは限りません。
寝不足が残っている。あごの力が抜けていない。首肩が重い。朝の疲れが変わらない。そんなこともあります。
気持ちの整理と、身体の変化は、同じ速度で進むとは限らないのです。
Q. 私の能力が足りなかったのでしょうか?
ここまで考え続けた方ほど、最後は自分を疑います。
もっと上手に言えたのでは。私が気にしすぎなのでは。もう少し余裕を持てばよかったのでは。
でも、何度か伝えた。言い方も変えた。記録も残した。相手の状況も考えた。そこまでしているのであれば、「自分の能力が足りなかった」だけで説明しなくてもよいと思います。
理解しようとしたのは、仕事をきちんと進めたかったからかもしれません。相手を簡単に決めつけたくなかったからかもしれません。その誠実さの代金を、身体で払っている状態なのかもしれません。
だから、これ以上「私が悪かったのかな」と考えるより、今の身体に何が残っているのかを確認する。そのほうが前へ進みやすいことがあります。
今日からできること(思考の切り替え)
まず、仕事を考えない時間を少しだけ作ってみてください。一時間でなくても構いません。
- 夕食中はスマートフォンを置く。
- お風呂では仕事の返信をしない。
- 寝る前の10分だけ、明日の予定を考えない。
- 少し歩く。
- 好きな音楽を聴く。
- 家族と仕事以外の話をする。
「考えないようにしなければ」と頑張る必要はありません。大切なのは、身体は帰宅しているのに、頭だけ職場に残り続ける時間を少し減らすことです。
慧仁治療院(足立区入谷)では
「ストレスですね」で終わらせるのではなく、あごや首肩に緊張が残っていないか。呼吸はしやすいか。眠れているか。朝に疲れが残っていないか。食事や生活リズムが崩れていないか。一つずつ確認します。
身体の不調には複数の要因が重なることがあります。一つの原因に決めつけないこと。それを大切にしています。
【次回予告】「言っても無駄」と思ったあと
理解しようとするのをやめると、少し楽になることがあります。では、その次はどうなるのでしょうか。
以前ほど怒らなくなった。もう何も言わなくなった。それなのに身体は軽くならない。
第2部では、「伝える努力」をやめたあとに残る、静かな緊張について考えます。
当院について
慧仁治療院は、東京都足立区入谷にある鍼灸・整体院です。
施術歴20年、延べ10万1千人以上のご相談実績をもとに、認定美容鍼灸師上級マスター・YNSA正規許可施術者・ONP分子栄養学認定資格を保有する男性施術者が、お一人おひとりに丁寧にご対応させていただいております。
足立区入谷・西新井・大師前・北千住・竹ノ塚・舎人・舎人公園・江北・日暮里・草加エリアの30代・40代・50代の女性を中心に、美容鍼・小顔ケア・肩こり・頭痛・食いしばり・自律神経のお悩み・睡眠のご相談を承っております。

